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カメラを止めるな! 感想

話題になってから随分と時間が経ってしまいましたが、同僚と映画の話になった時、構成が素晴らしいという話を聞いたので、そういうことであればと見てきました。
例のごとく、ネタバレ含みがてら、感想とか思ったことを書いておこうと思います。

未鑑賞の方は今すぐブラウザバックして、是非上映期間中に見に行って頂けたらなぁと思います。
いやいや、絶対オーバーに言われてるだけでしょ、と穿って考える人にこそ見て欲しい作品です。

想起されたのは三谷幸喜と有川浩

つまるところ舞台物である。
本作のパクリ騒動については裁判所の判断に委ねるとして(そもそも原作であるとされる舞台の内容を知らない)、発想自体は目新しい物ではないように思う。
三谷幸喜の「ラヂオの時間」だったり、有川浩の「シアター!」が同じテーマを扱っていると言えるだろう。いや、ラヂオの時間は見ていないのだけれど、あらすじを読む限りでは類似性が見受けられる。

なので、それを脇に置いて過剰に評価されている節は、鑑賞後であっても変わらず感じた。
しかし、視聴者の本作を高く評価する物語構成については、満場の喝采を送りたい。

第一部の出来が微妙であると思わせれば思わせるほど評価されやすい構造

第一部ーー放送された映像部分ーーの出来は控えめに言って酷い。カメラもブレブレであり、鑑賞中に酔いそうになった。とてもじゃないが、一度評価された監督がおいそれと撮ることができないカットだったと思う。途中で席を立ちたいぐらいだった。

しかしながら、劇場の通路は狭いし中の方で見ていたら、おいそれと途中退席できる空気ではない。糞映画に当たると、時間を返せという気持ちによくなるのだが、そうなる要因はここにあると言ってもいい。
最近ではエンドロール中に退席する人も見なくなった。そういう空気感は自分に限らず形成されているのではないかと思う。
つまり劇場においては、酷い映像であっても最後まで見て貰える可能性が高いと言ってもいいだろう。

さて、「ゲインロス効果」というのをご存知だろうか。

最初にマイナスの印象を与え、その後にプラスの印象を与えた方が、より良い好印象を抱かせることができる

ゲインロス効果とは より

低い評価の状態で切られない環境において、ゲインロス効果はとてもうまく働くことが容易に想像がつくと思う。本作はこれを上手く使い切った作品である点が、面白さたる所以だと思う。
だからこそ、冒頭の文章になる。穿って見て、第一部を必要以上に低評価される分には本作においては問題ないのである。むしろ手のひらの上で踊らされてると言っていい。

決して偶然ではない緻密に計算されたトラブル

本作のもう一つの魅力が、「刑事コロンボ」を彷彿とさせる答え合わせだろう。
これは(ラヂオの時間は分からないが)「シアター!」には存在しない要素である。

起きた事象に対し、解答が示されていく様は爽快そのものである。
そして、その事象がくだらなければくだらないほど良い。そして、途中で仕掛けが分かってしまっても全く問題ない。本作は推理物ではなく、コメディであるのだから。

シンプルで分かりやすいからこそ、ネタバラシの後は、即座に納得できる。そしてくだらないからこそ、コメディにできる。どう転んでも良いこれらの仕掛けを作り上げたことに素直に驚嘆した。
エンドロールで三重構造のネタバラシがある訳だが、実際のところ、どこが別撮りなのか制作秘話を聞いてみたいところである。 これも罠に嵌っているんだろうなぁ。

おわりに

「カメラを止めるな!」が面白いたる所以について、自分なりに思ったことについて触れてみた。
最後になるが、最高の90分をありがとう。紛れもない傑作でした。

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