本業プログラマーに戻りました
2018年9月から勤めていた会社を2019年5月末付で退職し、本業プログラマーに戻ったことをご報告致します。(前回の転職エントリーはこちら)
ネガティブな退職理由なので前職の会社に思うところがない訳ではありませんが、法律や経済のことに興味を持つキッカケになったので大変感謝しています。
何をしていたか
業界・業種・社名については伏せますが、肩書き上はともかく、実態としては商品企画ならびに商品開発を行っていました。
9ヶ月の間に商品企画・商品開発両方に携わった物は大小含めて9点ほど、内、開発から携わった物(=企画にはノータッチ)は3点になるので、大体どの程度の規模感の物の企画・開発だったかは分かるのではないでしょうか。
退職理由
ネガティブな(辞めることを目的としている)退職となる場合は、メリットとデメリットのバランスが崩れたことに起因するものだと思っていますが、私もそうです。
元々、給与所得が100万程度下がり、福利厚生も減り、企業の信用スコアもかなり低く、非上場な企業への転職でした。
その為、振り返ると健全なバランスとは言えなかったのでしょう。それでも、やりたい事をメリットとして考え転職しました。
次第にデメリットが加算されるようになり、最終的にメリットが見出せなくなっていました。
- 会社への不信感(雇用契約違反、労働基準法違反)
- 業績への懸念(昇給が期待できない)
- 上司との信頼関係の喪失(不当な扱いを受けていた)
- 職務内容への不満(やりたい方向性のことができない)
私には辞めるという選択肢しか残されていませんでした。
1. 会社への不信感
入社1ヶ月が経つ頃には、中長期で在籍する意思がなくなっていました。大体1年が目処だとこの時点で判断していました。
ある記事によると、19卒の短期離職の理由1位は「聞いていた条件が違う」ことだそうです。
私の場合もまさにそうであり、そのような会社に財布の紐を一部でも握られていることに不快感を示さずにはいられませんでした。
企業型確定拠出年金が実際には導入されていなかった
私は内定承諾前に条件の確認を行い、以下の回答を得ていました。
3. 企業型確定拠出年金, 企業年金の有無 (主に移管が必要になる為)・・・⇒企業型確定拠出年金有、企業年金無 (メール文から抜粋)
しかし、入社してから問い合わせたところ「個人型でした」と回答されました。
恐らく意図して騙していた訳ではないと考えますが、この回答を得るまでに数週間の時間を要しており、労働者の生活にいかに無関心であるかが分かります。
また、企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人型確定拠出年金(iDeCo)は拠出者も運営主体も異なる別物であり、個人型確定拠出年金(iDeCo)は事業者が関与する物ではありません。
「個人型でした」ではなく、確定拠出年金制度はありませんと回答すべきですし、内定承諾前に「有る」と名言していたものが「無い」のは労働条件違反であると理解しています。
幸いにして、個人型確定拠出年金への移管で事業者に貰う必要のある書類(企業年金や企業型DCがないことを確認する為のもの)へのサインは即座に貰え、被った不利益が軽微であることから問題を大きくすることはしませんでしたが、故意かどうかに関わらず、労働条件の虚偽は到底許せることではありません。
○2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。 労働基準法 第十五条 抜粋
上記の定めを根拠に即時の解除を試みる選択肢もありましたが、私にメリットがない為1年を目処に退職することをこの時点で決めました。
給与振込先銀行の会社側から指定された
解決済みではありますが、給与振込先銀行の指定を受けたこともありました。
入社日に給与振込先銀行としてA銀行(メガバンクの1つ)への指定を、会社のルールという名で以下の文面で指定されました。
A銀行の口座に振り込みますので口座を作ってください (銀行名のみ置換、前後略)
文言はお願いを装っていますが、ルール(デジタル大辞泉によれば、規則。規定。きまり)と書かれている以上、私はA銀行に口座を持っていないので、強い言い方をすれば契約の強要を受けたことになります。
なお、法律では現金払いの原則が定められており、例外として労働者の指定口座に振り込むことが可能となっている為、事業者が指定することは労働基準法違反でもあります。
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。 労働基準法 第二十四条
使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払について次の方法によることができる。 一 当該労働者が指定する銀行その他の金融機関に対する当該労働者の預金又は貯金への振込み 労働基準法施行規則 第七条の二 抜粋
口頭による2度の異議と書面による1度の異議の末、私の指定するB銀行(メガバンクの1つ)の口座に給与が振り込まれる形で合意しました。
2. 業績への懸念
以前は経済にあまり興味がありませんでしたが、とある番組を見て多少考えるようになりました。
労働人口の増加により、経済成長を促進される人口ボーナスが終わり、市場の自然拡大は望めないというようなことを取り上げていたように記憶しています。
そこでは効率化ができる業種に就くのが良いとしていましたが、私は以下のいずれかが改善・向上されなければ給料は上がらない(理想的と言われる緩やかなインフレにおいて、給料水準の低下を意味する)という理解をしました。
利益(商品価値の向上、生産効率の向上) x 数量(市場の拡大、市場競争力の向上) + 継続的利益(サブスクリプションなど)
これを所属部署に照らし合わせると、どれも満たせていないと言わざるを得ませんでした。
- 属人性が高く、人が辞める際にノウハウが引き継がれない為、その度に商品価値・生産効率はリセットされる
- 業務に関する特定市場についてはここ2年ほどで横ばいになっており、市場規模の拡大は難しい
- ノウハウが継承されていないことに起因するが、他社と比べ市場競争力がない
- 継続的利益を生む資産がない
これについて一度提言したことがありますが、「解決策を提示しろ」「給料を上げろと言うのであれば、成果を先に出せ」という内容を言われ、改善の見込みがないという判断に至りました。
解決策とまで言えなくても、「取り得る選択肢を増やす」や「継続的利益を生む」商品企画はこの時点でしていましたし、長期的に見た給与水準の向上について触れただけで、このように言われるのは大変遺憾でした。
ちなみに、「解決策を提示しろ」と言うことの何が問題なのかは、問題提起した人に「解決策を示せ」ということの弊害の記事が参考になります。
実のところ、IT業界に戻るという選択をしたのは、この点が少なからず影響しています。
IT化という言葉が主に効率化の文脈で使われるように、IT業は効率化が行いやすく、上記の要素を比較的満たしやすい側面があると考えている為です。
また、無駄を嫌い、改善に対する抵抗感の低い労働者が多いとも感じています。
プログラマーの美徳として「怠惰」が挙げられますが、面倒なことをしなくて済むようにすることに余念がない労働者が一定数いることによって、その行為に抵抗感を持たない環境が育っているのではないでしょうか。
3. 上司との信頼関係の喪失
上司はプライドの塊のような人で、誇張と嘘が多く、自分の主張に賛同しない意見については無視をするような人でした。本人は認めないと思いますが。
「私が得ている情報の限りでは(他部署の部長である)H氏の言っていることは正しいと思う」と言っただけで、「私が言うことを信じられないのか」「私が言うことよりもH氏の言うことを何で信用するのかが分からない」と言うほど言論統制に余念がなく、何でも疑問を持って口に出してしまう私は異質な存在でした。
時が経つにつれて私の立場も悪くなり、何をやるにしても文句を言われ、最終的には退職の旨を人事にメールしただけでキレられる状態にまでになっていました。
関係が悪化した要因はいくつもありますが、私がプログラムは書かないというスタンスを取っていたことに対して、最終的に詐欺であるとまで言われたことを考えると、それなりに大きかったのではないかと思います。
内定承諾前に「プログラマがいない環境で、全て一人で面倒を見るというのは負担が大きく、この額面でそれを行うことはしない」と伝達していましたし、入社1ヶ月経った頃に再度説明もしているので、私としては説明に努めたつもりなのですが。
上司の主張としては、であれば職務経歴書に書くべきではないそうです。大変興味深い主張でした。
「HTMLなら(コーディングではないので)書く」と言っていたのですが、「本職ではないので仕様聞かないとできるか判断できないです」と言ったことを根に持っていたらしく、退職時にこれを例に「仕事を拒否するのなんてあり得ない」という旨を言われる始末でした。
仕事がそれなりに積まれているタイミングだったので1人日以上の工数をかけたくなかったが実情ですが、仕様を提示しない案件は後から要求が増えるのが目に見えているので、引き受けなくて正解だったと思っています。
4. 職務内容への不満
私が企画から携わった商品は、大変有難いことに各方面から好意的な意見を多数頂きました。私の想定を上回る反応を頂いて感謝の言葉が尽きません。
それだけに、自分の納得できる形で提供できなかったことに後悔が残っています。
調整ができなかったこと、時間が許さなかったこと、妥協してしまったこと。本当に妥協をすると死ぬのだな、と実感しました。
そして、自分の納得できる形にしようとする程、身動きが取れなくなっていきました。
上司は「売れる」という曖昧な物を是としていました。一方で私は「消費体験」を重視していました。あくまでも私見ですが、結果として前者は「とにかく低コスト、高価格」に走る傾向があり、後者は「消費体験に妥当な価格設定をしてから、それに見合う工数設定を逆算する」傾向がありました。
どちらに経済的合理性があるのか、正直今も分かっていません。
しかし、価格不相応の商品を作ることができず、コストが僅かに高いことだけを理由に高価格化を迫られ、取引先とのトラブルも相まって身動きの取れない状況に陥っていました。
自分の理想だけではやっていけないのは承知していますが、在庫の山を作っている前者のやり方が妥当であるとは到底思うことはできませんでした。
次の仕事について
都内某所のIT企業でプログラマーをやります。
所属を公にするメリットがないので社名は伏せますが、小さめの会社です。会った際にでも聞いてください。
また、正式に副業が許可されており、競業にならない範囲かつ週末でできる程度で、個人でも細々と仕事をやっていきます。
有難いことに既にキャパが空いていないのですが、単なるアニオタの私がホイホイ釣られるような案件でしたら是非お声がけください。Web、スマホアプリ、サーバーサイドと比較的手広くやっておりますので。
益のない記事になりましたが、近況ということで、駄文にお付き合い頂きありがとうございました。
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