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裁量労働制について思うこと

年が変わる区切りの時期ということもあり、今年考えたことを纏めていこうと思います。
1つは裁量労働制についてです。

前提

私は現職を含め、2社で裁量労働制での勤務経験があることになります。
大前提として、私は裁量労働制は基本的に賛成の(良い制度であるとする)立場ですが、考えを少し改める機会がありました。
そこで考えたことや調べたことを纏めたものです。一部法律を引用しますが、法律は専門外なので、あくまでも自己責任の範囲で参考にして下さい。

裁量労働制のメリット

裁量労働制の対象を国が広げようとすることから分かるように、メリットのある制度です。
これは労働者・雇用者ともに言える話です。

  • 労働者
    • 期待される業務をこなしていれば、少ない時間の労働でも、所定時間働いたことになる
  • 雇用者
    • 残業代を支払う必要がない
    • 勤務時間の管理を行う必要がない(全くない訳ではないかもしれない)

裁量労働制のデメリット

メリットもあればデメリットもあります。

  • 労働者
    • 何時間残業したとしても、所定時間しか働いていないことになる(残業代が出ない)
  • 雇用者
    • 勤務の時間配分について具体的な指示を出すことができない

裁量労働制が問題視される理由

裁量労働制が近年問題視される理由として、

長時間労働の温床になっている
裁量労働制の問題点とは? 知っておきたい、2つの制度の正しい運用法より

という理由が挙げられます。しかしながら、これは以下の2つの理由により起きていることだと感じています。

  • 現在の労働基準法における、裁量労働制の適用条件を労働者が知らない
    • 人事は知っていても、上司が知らない場合もある
  • 残業が当たり前だと思っている

後者は……さておき、前者については、実際に裁量労働制で労務契約を交わしているにも関わらず、「遅刻」や「残業」についての扱いが分からないどころか、残業代が出ると思っているケースを見たことがあります。
そういう人は取り敢えず、労働基準法 第三十八条の三および第三十八条の四を読むことをお勧めします。こちらから読むことができます。

裁量労働制で働く為に知っておきたいこと

基本的には労働基準法を参照して欲しいものですが、個人的に纏めたものをご紹介します。

対象業務の時間配分について雇用者は指示することができない

三 対象業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し、当該対象業務に従事する労働者に対し使用者が具体的な指示をしないこと。
労働基準法 第三十八条の三より

つまるところ、残業を命令することができないということになります。
但し、期日が事前に決まっている物に間に合っていない場合、対象業務の遂行が出来ていないので実質的に残業を命令することはできる気がします。(詳しい人に確認して下さい)

ここで大事なのは、無理な期限設定をされた仕事を安易に了承しないことです。
雇用者には業務命令権があるので、妥当性がある場合には拒否できない点には注意が必要です。
(業務命令権まわりよく分からないんですよね……)

対象業務は労働者の裁量に委ねられなければならない

一 業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして厚生労働省令で定める業務のうち、労働者に就かせることとする業務(以下この条において「対象業務」という。)
労働基準法 第三十八条の三より

業務に関する裁量が、労働者にない場合は条件を満たすことができません。

裁量労働制の対象業務は、「業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務」とされている。つまり、裁量労働制の対象業務だけをしていたとしても、その遂行方法に裁量がなければ、違法・無効と判断されるのである。 プログラマーの裁量労働制は違法! システムエンジニアの裁量労働制が違法になったケースもより

判決の詳細が分からない為、本当かどうかは分からないですが、この記事によると判例も存在するらしいです。
労働者に裁量があることの基準を明確にすることは難しいものの、知っておいて損はないことだと思います。

最後に

こんなものでしょうか。
雇用者も労働者も裁量労働制を正しく理解して働きたいものです。

裁量労働制周りで納得ができないことがあった為、自分の考えが正しいか法的根拠を調べる年末でした。

(Updated: )

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